【初心者向け】テスターの正しい使い方!感電・故障を防ぐ「電流測定」の絶対ルール

設備保全

お疲れ様です、Naoです。

機械の保全をしていると、避けて通れないのが「電気トラブル」です。

「センサーが反応しない」「ヒーターが切れたかも?」「モーターの電流値を見たい」…。

電気は見えないので怖いですが、それを「数字」で見える化してくれる最強の武器があります。

それが「テスター(回路計)」です。

今回は、現場で頻繁に使う「3つの機能(電圧・導通・電流)」の正しい使い方と、初心者がやりがちな「テスターを壊す(最悪爆発する)NG行動」について解説します。

1. 基本の「電圧測定(V)」:ACとDCを間違えるな

まずは一番使う「電圧」です。電気が来ているかどうかの確認に使います。

大事なのは「AC(交流)」と「DC(直流)」を間違えないことです。

  • AC V(交流電圧):
    • 記号:~(波線)
    • 対象:コンセント(100V)、モーターの動力(200V)など。
    • 現場でよくやる「マグネットの二次側(RとS)」に当てて200Vを確認する作業はこれです。
  • DC V(直流電圧):
    • 記号:ー や …(直線と点線)
    • 対象:制御盤内の電源(24V)、センサー、乾電池など。
    • 赤がプラス、黒がマイナスです。

【ポイント】

「センサーが光らない!」という時は、DCレンジでセンサーの配線(茶色と青色)を測ってみてください。「24V」と出れば電気は来ています。「0V」なら電源やケーブル断線を疑いましょう。

2. 必須の「導通・抵抗チェック(Ω)」:電源OFFが絶対条件!

ダイヤルを「音波マーク(Wi-Fiのような記号)」や「Ω」に合わせると、電気の通りやすさを確認できます。

赤と黒の棒をくっつけると「ピーーッ!」と音が鳴れば導通OK(繋がっている)です。

  • 使い所: ヒューズ切れの確認、ケーブルの断線調査、ヒーターの抵抗値測定など。

【警告】絶対に「電源を切ってから」測ること!

初心者が一番やってしまうミスがこれです。

「電気が流れている場所(活線)で、導通や抵抗を測ってはいけません!」

もし100Vが来ているコンセントに、導通モードで棒を当てるとどうなるか?

一瞬でテスターが壊れます(内部ヒューズが飛ぶか、基盤が焼けます)。

「抵抗を測る時は、必ずブレーカーを落とす」。これだけは徹底してください。

3. 「電流(A)」と「電圧(V)」の測り方は全然違う!

ここが今回一番伝えたい、命に関わるポイントです。

現場ではよく「マグネットの端子(RとS)にテスターを当ててチェックする」ことがありますよね。

あれは「電圧(V)」を測って、「電気が来ているか」を確認している作業です。

しかし、初心者がこれを「電流(A)」の測定だと勘違いして、ダイヤルを「A」にして同じことをすると…大事故になります。

💀 絶対にやるな!「電流モード」での並列当て

テスターのダイヤルが「A(電流)」の状態で、マグネットのRとS(またはコンセントの穴)に棒を当てるとどうなるか?

「ドカン!!」という音と共に、ショートして火花が飛び散ります。

  • 電圧(V)を測る時:
    • 2本の線の「間」に当てる。(並列)
    • RとSに当てる → OK!(200Vと表示される)
  • 電流(A)を測る時:
    • 電線そのものを「挟む」か、回路に「割り込ませる」。
    • RとSに当てる → NG!(ショート爆発)

もし「間違えてAで測ったことあるけど、何も起きなかったよ?」という人がいたら、それはテスター内部のヒューズが身代わりになって切れたか、高価なテスターの保護機能が働いただけです。

運が良かっただけなので、絶対に真似しないでください。

4. 正しい電流の測り方は「クランプ」一択

では、どうやって電流(アンペア)を測るのか?

基本は、テスター棒ではなく「クランプ機能」を使ってください。

最近のデジタルテスターは、先端がU字(フォーク)や丸型になっていて、ダイヤルを「A」にして電線を挟むだけで測れます。

これなら配線を外す必要もなく、ショートの危険もありません。

どうしても棒で測る時の「絶対ルール」

配線が密集していてクランプが入らない時だけ、テスター棒を使います。

  1. 直列に繋ぐ: 配線を一度外し、その間にテスターを割り込ませる。
  2. ダイヤルの戻し忘れに注意: 測定が終わったら、即座にダイヤルを「OFF」か「V」に戻すこと。

「A」のまま放置したテスターで、うっかり次の電圧測定をするとショートします。

「電流を測ったら、即座にダイヤルを戻す」。これだけは今日覚えて帰ってください。

コラム:先輩が顔面蒼白で怒った理由「昔なら死んでたぞ」

これは私が新人だった頃の話です。

あるトラブル対応中、うっかり「電気が流れている状態(活線)」で、テスターを抵抗モードにして測定してしまいました。

私のデジタルテスターの画面には、何らかの数字が表示されました。

「ふーん、こんな数値か」

平然としている私を見て、横にいた先輩が血相を変えて怒鳴りました。

「お前! 何やってんだ! 昔のテスターなら死んでたぞ!!」

正直、その時はピンときませんでした。

「え? でも普通に測れましたよ? テスターも壊れてないし…」

先輩は大げさだな、くらいに思っていたのです。

なぜ「死ぬ」と言われたのか?

後で仕組みを勉強して、ようやく背筋が凍りました。

実は、テスターの「抵抗測定モード」というのは、テスター自身が微弱な電気を出して、その通りにくさを測っています。

つまり、テスターの内部は「無防備に回路が開いている状態」なのです。

そこに、コンセントの100Vや200Vという巨大なエネルギーが逆流してきたらどうなるか?

  • 昔のアナログテスターの場合:逃げ場のないエネルギーが内部のコイルや抵抗を一瞬で焼き切り、「ボンッ!!」と爆発します。その爆風やアーク(火花)が顔面に直撃し、失明や大火傷を負う事故が実際に多発していたそうです。

デジタルに守られていただけだった

私が無傷だったのは、今のテスターに「過大入力保護機能(PTCサーミスタなど)」がついていて、身代わりになって熱を吸収し、回路を遮断してくれていただけでした。

私は「安全な作業」をしたのではなく、「防弾チョッキを着ていたから、撃たれても気づかなかった」だけだったのです。

「デジタルだから大丈夫」ではありません。

「もし保護機能が壊れていたら、自分の手の中で爆発していたかもしれない」。

理屈を知った今では、活線作業は絶対にしません。皆さんも、便利な道具に甘えず、基本(電源OFF)を徹底してください。

まとめ

テスターは保全マンの「目」です。正しく使えばトラブル原因がすぐ分かります。

  1. 電圧(V): RとSに当ててOK。電気が来ているかチェック。
  2. 導通(Ω): 必ず電源を切ってから測る(活線NG)。
  3. 電流(A): RとSに当てたら爆発する。基本はクランプで挟む。

「今やっている作業は、電圧チェック?それとも電流チェック?」

常にこれを意識して、ダイヤルを合わせてください。

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