【設備保全】「絶対に回らない…」錆びついた固着ネジを外す!プロの3段活用術

設備保全

お疲れ様です、Naoです。

以前、ブログで「なめたネジのリカバリー」や「緩み止め対策」について紹介しましたが、今回は保全マンが最も体力を消耗する「錆びや焼き付きで、ビクともしない固着ネジ」との戦い方について解説します。

全身全霊で力を込めても回らない絶望感…。無理をすれば工具が壊れるか、腰をやられます。 力任せではなく、「ケミカル・熱・衝撃・トルク」を駆使して、スマートかつ大胆に攻略しましょう。

1. まずは「掃除」が全ての始まり

焦って潤滑剤を吹いてはいけません。 ネジの周りが錆びや油汚れでコテコテの状態では、せっかくの高性能ケミカルも奥まで浸透しません。

まずはワイヤーブラシやパーツクリーナーで、ネジ山と座面の汚れを徹底的に落としてください。これが最初の一歩です。

2. 【化学兵器】王道「ラスペネ」と、現場の裏番長「クリューバー」

掃除が終わったら、潤滑剤(浸透油)の出番です。 ホームセンターの安価なオイルスプレー(5-56等)も無いよりはマシですが、固着ネジには役不足なことが多いです。

王道にして最強「ワコーズ ラスペネ」

プロの整備士や保全マンの9割が持っていると言っても過言ではないのが「WAKO’S ラスペネ(RP-C)」です。 驚異的な浸透力で、目に見えない錆びの隙間に入り込みます。まずはこれを使っておけば間違いありません。

私の現場の秘密兵器「クリューバー(Klüber)」

ちなみに、私が働いている工場では「クリューバー(Klüber)」というメーカーの超高性能潤滑剤を使用しています。 一般にはあまり出回っていませんが、過酷な産業機械に使われる信頼性抜群のブランドです。もし現場にあったら、迷わず使ってください。

  • ポイント: 吹いてすぐに回さないこと!潤滑剤が浸透するまで、数分(タバコ一本分くらい)待つのがプロの流儀です。

3. 【判断】酷いサビなら「初手バーナー」一択

ここで重要な分岐点です。 もし、ボルトが錆の塊のようになっていたり、明らかに「これは普通じゃ回らないな」と直感した場合は、小細工抜きで最初からガスバーナーを使います。

熱の力は偉大

ガスバーナーでナットや母材をガンガンに炙ります。 熱膨張で固着を剥がし、中の錆や接着剤を焼き切るためです。「結局、最後は炙ることになる」パターンが多いので、酷い時は最初から炙るのが最短ルートです。 (※周囲への引火や、熱影響には十分注意してください)

4. 【物理攻撃】ハンマーよりも「ショックドライバー」

潤滑剤と熱でもダメなら、次は「衝撃」を与えます。

ショックドライバー(インパクトドライバー)が最強

もし手元にあるなら、ハンマーで単に叩くよりも「ショックドライバー」を使用すべきです。 お尻をハンマーで叩くと、その衝撃力が強い「左回転(緩める方向)」の力に変換されます。「ガツン!」と一発で緩むあの感覚は、一度味わうと病みつきになります。

ない場合は「ハンマー」で叩いて目を覚ます

ショックドライバーが無い場所なら、ボルトの頭をハンマーで直接叩きます。 (※私はラチェット等に合うサイズのビットを付け、それを叩いて衝撃を伝えたりもします) 叩くことで固着部分にクラック(ひび)が入り、潤滑剤がさらに奥へ浸透します。

5. 【トルク攻撃】パイプ延長と「指先の感覚」

ケミカル、熱、衝撃で準備が整ったら、最後は「回す」工程です。 ガチガチのネジは通常の手工具では回らないため、メガネレンチなどに「鉄パイプ(単管パイプ)」を差し込み、持ち手を長くして回します。

「一気に回す」のがプロのコツ

パイプを使う時、ビビって中途半端に力を入れると一番危険です。 工具がしっかり掛かっていない状態でジワジワ力を入れると、工具が浮き上がり、一発でネジ頭を舐めてしまいます。

工具が奥までガッチリ嵌まっていることを確認したら、迷わず一気にトルクを掛けます。

「嫌な予感」がしたら即中止!

ここが一番大事です。 力を入れた瞬間、手に伝わる感覚で「あ、これ舐めるな(ヌルっといくな)」とか「かかりが悪いな」と思ったら、即座に力を抜いて中止してください。

この「違和感」を無視して強引に行くと、100%失敗します。 一度体勢を整え直すか、もう一度「叩き」や「炙り」に戻る勇気が、最悪の事態(ボルト折れ・完全なめ)を防ぎます。

まとめ

固着ネジ攻略は、状況判断が全てです。

  1. 掃除して、状態を見る。
  2. 酷そうなら最初からガスバーナーで炙る。
  3. ラスペネ(クリューバー)を浸透させて待つ。
  4. ショックドライバーで衝撃を与える。
  5. パイプ延長は、工具のかかりを確認して一気に回す(違和感があったら即やめる!)。

この手順と「指先の感覚」を研ぎ澄ませば、どんな頑固なネジも必ず外れます。 安全第一で、今日もご

安全に!

【あわせて読みたい!ネジトラブル完全攻略】

今回の「固着ネジ」以外にも、現場でよくあるトラブルの対処法をまとめています。この3記事を読めば、ネジで困ることはなくなりますよ!

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