お疲れ様です、Naoです。
今日は、工場の動力源である「エアシリンダー」の速度調整についてです。 シリンダーのポート(継手)についている小さなツマミ、「スピードコントローラー(通称:スピコン)」。
新人の頃、「ちょっと動き遅くしといて」と言われて、どっちを回せばいいか分からず適当にいじった結果、ネジをねじ切ったり、シリンダーを暴走させたりと散々な目に遭いました。
今回は、そんな失敗から学んだ「調整のコツ」と、よく似ている「クッション機能付きスピコン」、そして「本体の記号での見分け方」について解説します。
1. どっちを回す?迷ったら「動作と逆側」
スピコン(SMCでいうASシリーズなど)には「メーターアウト」と「メーターイン」がありますが、工場の設備の9割は「メーターアウト(排気絞り)」です。
理屈は置いておいて、現場ではこう覚えてください。
「動く方向と『逆側』のスピコンを絞る!」
- 右へ動くスピードを落としたい → 左側のスピコンを絞る(排気を邪魔する)。
- 左へ動くスピードを落としたい → 右側のスピコンを絞る。
入ってくる空気ではなく、「出ていく空気」にブレーキをかけるイメージです。
2. 本体に書いてある!「記号」と「色」で見分ける
「これ、メーターアウトかな?インかな?」と迷った時は、スピコンの本体を見てください。 実は、樹脂ボディや金属部分に回路図(JIS記号)が印刷されています。
- 記号の中の「チェック弁(ダイオードみたいな三角)」の向きを見れば分かるのですが…正直、パッと見で判断するのは難しいですよね。
そこで、SMC製品なら「色」を見るのが早いです。(※一般的なASシリーズの場合)
- 白色(ライトグレー): メーターアウト(標準)
- 水色: メーターイン(特殊)
もし現場で「水色のツマミ」がついているシリンダーがあったら、「あ、これはメーターイン制御の特殊なやつだな」と警戒してください。
3. 失敗談:「閉めすぎ」はトラブルの元
「安全のために、とりあえず限界まで閉めておこう」 これ、実はNGです。私が過去にやった失敗が2つあります。
失敗①:ネジをねじ切る
スピコンのニードルは繊細です。モンキーレンチでグイグイ締め込んだ結果、「パキッ」とネジを折りました。 基本は指の力でロックナットを回し、最後に少しスパナで締める程度で十分です。
失敗②:原点復帰できない(残圧トラブル)
スピコンを閉めすぎると、空気が逃げられず「密閉状態」になります。 すると、朝イチの立ち上げ時などに「空気が抜けないからシリンダーが戻らない」という現象が起きます。「全閉から少し開ける(空気の逃げ道を作る)」のが鉄則です。
4. よく壊れる場所には「クッション機能付き」
普通のスピコンだと思っていたら、「なんか形が違う(長細い)」やつがついていませんか? それは、シリンダーを守るための「クッション機能付きスピコン(例:SMC ASDシリーズなど)」かもしれません。
普通のスピコンは「ずっと同じ速度」で動きますが、こいつは賢いです。
- 途中まで: 「スーッ」と速く動く。
- ぶつかる直前: 「フワッ」と減速して優しく当たる。
もしこれを見つけたら、「2段階の速度調整」が必要になるので、普通のスピコン感覚で適当にいじると機能しなくなります。
まとめ
- 調整するのは「動く方向と逆側(排気側)」のスピコン。
- 迷ったら本体を見る。「白色」ならメーターアウト、「水色」ならメーターインが多い(SMC)。
- 変な形のスピコンは「クッション機能付き」。衝撃吸収用の重要パーツ。
たかがネジ一本ですが、ここには「圧縮空気のエネルギー」が詰まっています。 なめてかかると怪我をしたり設備を壊したりするので、慎重に調整しましょう!


コメント