お疲れ様です、Naoです。
今日は、工場の設備の「足腰」である「LMガイド(リニアガイド)」についてです。
メーカーのカタログには「適切な時期に給脂せよ」と書いてありますが、ぶっちゃけ私の現場では「年1回(長期連休)のメンテ」ぐらいしかやりません。 それでも意外と持つもんですが、いざ壊れた時は交換作業が発生します。
今回は、そんなLMガイド交換作業で遭遇した「泥臭いトラブル事例」と、「型番が読めない時の探し方」をメモしておきます。
そもそも「LMガイド」とは?
一言でいうと、「機械を滑らかに『直線(Linear)』に動かすためのレール」です。 (※LMガイドはTHKの商標ですが、現場ではリニアウェイなども含めてこう呼ぶことが多いです)
中はボールベアリング構造になっていて、スムーズに動きます。 基本的には「壊れたらユニットごと交換」で済む部品ですが、たまに面倒なことが起きます。
【実録】現場で遭遇した「LMガイド」のトラブル
ここからは、実際に交換作業をした時に困ったことや、現場ならではの対応策です。
1. 「どこのメーカー?」謎の海外製がついている
THKやIKO(日本トムソン)などの有名メーカーなら型番ですぐ取れますが、海外製の装置だと「見たことないメーカー」のLMがついていることがあります。 しかも倉庫に在庫がない。
対処法:現物合わせ(あてがって探す) カタログも出てこない時は、寸法(レール幅、高さ、取付ピッチ)を測り、似たようなスペックの国内品を「あてがって」探すしかありません。 (※ブロックの互換性がないので、レールごとの総取っ替えになりますが…)
2. 長さが合うものがない
急ぎで欲しいのに、在庫リストにあるのは「欲しい長さより長いヤツ」だけ。
対処法:長いのを買って、切る 現場の奥の手です。同じ型番で「長いレール」を取り寄せ(または在庫から出し)、高速カッターやサンダーで必要な長さに切断して使いました。 端面のバリ取りさえしっかりすれば、問題なく使えます。
3. カーボン粉・粉塵エリアはすぐ「かじる」
カーボン加工機や粉体エリアのLMガイドは、寿命が極端に短いです。 隙間から微細な粉が入り込み、ボールとレールの間でヤスリのような働きをして、すぐに「かじり(焼き付き・固着)」が発生します。 こういう場所は、年1回のメンテで発見したら、早めに交換の準備をしておきます。
4. レールの形が違う(全交換の罠)
一番めんどくさいのがこれです。 「ブロックだけ壊れたから、ブロックだけ交換しよう」と思っても、メーカーや型式が違うとハマらないことがあります。
結局、機械を大掛かりにバラして、レールごと交換することになります。 作業自体は難しくないですが、バラす範囲が広いと単純に時間がかかってダルいです。
「型番が消えてて読めない!」時の探し方
古い設備だと、LMブロックに書いてあるはずの型番が擦れて消えていたり、汚れで見えないことがよくあります。 そんな時は、闇雲にカタログを見るのではなく、まず「レール幅」をノギスで測ってください。
実は、LMガイドの型番の数字は「レール幅」とリンクしていることが多いです。
- レール幅が15mm → 型番に「15」が入る(例:HSR15、LW15など)
- レール幅が25mm → 型番に「25」が入る(例:HSR25、SHS25など)
さらに深掘り!「アルファベット」でタイプを見分ける
数字で大きさが分かったら、次は「頭文字のアルファベット」で種類を絞り込みます。 シェアNo.1のTHKを例にすると、よく見るのは以下の3パターンです。
- HSR(世界標準タイプ)
- 特徴: 一番よく見るやつ。上下左右どこからの力にも強い。
- 使い道: 迷ったらこれ。壁掛けでも天吊りでもOK。
- SSR(ラジアルタイプ)
- 特徴: 背が低い(薄い)。 上からの力には強いが、横からの力には弱い。
- 使い道: 省スペースな場所や、水平に置くテーブルなど。
- SHS(ボールリテーナ入り)
- 特徴: ボール同士がぶつからない「カゴ」が入っているタイプ。音が静か。
- 使い道: 最近の設備の主流。HSRの上位互換的な存在。
「レール幅」と「ブロックの背の高さ」を見れば、型番が消えていても「たぶんHSR25だな」とアタリがつきます。
まとめ
- 海外製や特殊なメーカー品は、壊れる前に「代替品」を探しておくのがベスト。
- 長さは「大は小を兼ねる」。切ればなんとかなる。
- 型番が読めない時は、「レール幅」と「背の高さ(HSRかSSRか)」を見る。
基本は交換して終わりですが、在庫がない時や型番不明の時は、この知識が役に立ちます。


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