【現場直伝】ヒーター断線・漏電の点検手順|「0A」だけじゃない?数値で見る交換判断と固着防止のコツ

現場でのヒーター点検イメージ。クランプメーター、テスター、絶縁抵抗計(メガー)を使用し、ヒーターの断線や漏電を調査している様子。 設備保全

「ヒーターが温まらない」「ブレーカーが落ちた」

保全の現場で最も多いトラブルの一つが、ヒーター周りの不具合です。

お急ぎの方向けに、まずは現場ですぐ使える「結論(点検フロー)」をまとめました。

(※詳しい解説やコツは、リストの下に続いています)


【現場用】最短点検チェックリスト

症状A:ヒーターが温まらない(断線疑い)

  • 道具: クランプメーター
  • 状態: 電源ON(出力中)にして測定
  1. 電流値が「0A」
    • 完全断線(即交換)
  2. 電流値が「他より低い」
    • ヒーター劣化(抵抗値増大のため交換推奨)
  3. 電流値は「正常」なのに警報が出る
    • 設定ミス(断線警報の閾値が厳しすぎるため確認)

症状B:ブレーカーが落ちる(漏電疑い)

  • 道具: 絶縁抵抗計(メガー)またはテスター
  • 状態: 必ず電源OFF
  1. 目視確認(コネコネ)
    • → 配線を手で動かし、被覆の破れ・金属接触を見る。
  2. 単体にする(最重要)
    • → 端子台からヒーター配線を外して孤立させる。
  3. 測定する
    • → 「ヒーター配線」と「金属ボディ(アース)」間で測定。導通したらNG。

↓ 以下、詳しい解説とコツ

新人の頃の私は、制御盤の端子台で一本ずつ配線を外し、テスターで抵抗値を測っていました。しかし、先輩から「現場の実践的な測り方」を教わってからは、調査スピードが劇的に上がりました。

ここからは、チェックリストの各項目について、失敗しないためのポイントを解説します。

1. 点検前の落とし穴:定格(W数)はどう調べる?

まず、「正常なら何アンペア流れるはずなのか?」を知る必要がありますが、ここにも現場ならではの罠があります。

  • ❌ ヒーターの刻印は見ない
    • ヒーターの頭(端子部分)には、本来「200V 500W」のような刻印があります。しかし、現場で使用中のヒーターは熱や汚れで劣化しており、9割方見えなくなっています。 無理に読み取ろうとして時間を浪費してはいけません。
  • ⭕️ 電気図面を確認する
    • すぐに設備の電気図面(回路図)を確認しましょう。ヒーター配線図のページを見れば、確実な容量が記載されています。

2. 【断線チェック】端子台より「クランプ」が圧倒的に早い

制御盤の端子台で抵抗を測る方法もありますが、配線を外す手間や、復旧時の結線ミスのリスクがあります。

現場ではクランプメーターを使って、電気を流したまま調べるのが最速です。

測定手順

  1. ヒーターをONにする。
  2. クランプメーターで、ヒーターの配線を1本ずつ挟んで電流値(A)を読む。

判定基準と対応(ここが重要!)

単に「電流が流れているか」だけでなく、数値を見て判断します。

ケース①:値が「0A」

  • 判定: 完全断線
  • 対応: ヒーター内部で線が切れています。即交換してください。

ケース②:値が「他より低い」(劣化)

  • 判定: ヒーター劣化
  • 対応: 断線はしていませんが、抵抗値が増大し、能力が落ちています。
    • (例)本来5A流れるはずが、3Aしか流れていない 等
  • 注意: 「0Aじゃないからヨシ!」としてはいけません。昇温時間が遅れたり、成形不良の原因になります。交換が必要です。

ケース③:値は「正常」なのに「断線警報」が出る

  • 判定: ヒーターは正常。設備側の設定ミスの可能性大。
  • 対応: 「断線警報の閾値(しきいち)」を確認してください。
    • 実測値に対して設定がギリギリすぎると、わずかな電圧変動で誤検知します。閾値を少し下げて、余裕を持たせた設定に見直しましょう。

3. 【漏電チェック】まずは「コネコネ」次に「単体」

ブレーカーが落ちる場合や、漏電警報が出た場合の調べ方です。

手順①:まずは目視と「コネコネ」確認

測定器を出す前に、物理的な接触がないか確認します。これで見つかれば一番早いです。

  • やり方: ヒーターの根元や、可動部で配線が擦れやすい場所を手で少し動かしてみます(コネコネする)。
  • チェック: 被覆が破れて、中の銅線が機械の金属ボディに触れていませんか?意外とここが原因のパターンが多いです。

手順②:配線を外して「単体」にする(最重要)

目視で分からない場合は、測定器(絶縁抵抗計/メガー、またはテスター)を使います。

⚠️ 重要:必ず電源を切り、ヒーター配線を端子台から外してください。

配線が繋がったままだと、そのラインに繋がっている他の機器まで一緒に測ってしまい、原因が特定できません。必ず「ヒーター単体(ひとりぼっち)」の状態にします。

手順③:測定する

  1. 測定器の片方を「ヒーターの端子(配線)」に当てる。
  2. もう片方を「アース(機械の金属ボディ)」に当てる。
  • 抵抗値が出る(導通する): 内部で漏電しています。交換です。
  • 抵抗値が無限大(針が振れない): ヒーターは正常です。他の箇所の漏電を疑いましょう。

4. 【先輩の知恵】交換時のひと手間が、未来の自分を救う

ヒーター交換をする際、「古いやつが焼き付いて抜けない!」と苦労した経験はありませんか?

新しいヒーターを入れる際は、ぜひこの一手間を加えてください。

✅ 焼き付き防止剤を塗る

ヒーター部分に「焼き付き防止剤(スレッドコンパウンドやカッパーペースト等)」を薄く塗ってから挿入します。

たったこれだけで、次回の交換時に驚くほどスムーズに抜けるようになります。数年後の自分(や後輩)が楽をするための、プロの心遣いです。

まとめ:これは全ての「電気トラブル」に通じる基本

今回解説した「配線を外して単体にして測る」という手順。

実はこれ、ヒーターに限った話ではありません。

  • モーターが漏電した時
  • 制御盤のファンが回らなくなった時
  • 電磁弁(ソレノイド)が動かない時

これら全て、やることは同じです。

「疑わしい部品を孤立(単体)させて、白か黒か判定する」。

この基本原則さえ覚えてしまえば、どんな設備トラブルでも落ち着いて「順番に当たって調べるだけ」です。ぜひ明日の現場から実践してみてください。

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