はじめに:ブッシュ交換でハマっていませんか?
設備保全の現場で避けて通れないのが「ブッシュ交換」。 すんなり抜ければ数分の作業ですが、錆びついて固着していると1時間以上ハマることも珍しくありません。
「プーラーが滑って引っ掛かりがなくなった…」 「叩いてもビクともしない…」
そんな絶望的な状況を打破するために、現場で実際に使われている3段階のレスキュー法を解説します。これを読めば、どんな固着ブッシュも怖くなくなります。
レベル1:【基本】貫通ドライバーによる対角叩き
まだ固着が軽度な場合に有効な、最も手軽な方法です。
手順とコツ
- 貫通マイナスドライバーを用意する。
- ブッシュの縁(ヘリ)や内側の段差に先端を当てる。
- ハンマーで対角線上(十字を描くように)均等に叩く。
注意点: 強く叩きすぎて、次のステップで使うための「プーラーを引掛ける耳」を欠損させないよう注意しましょう。
レベル2:【正攻法】内掛けプーラー(スライドハンマー)
叩いても動かない場合は、専用工具の出番です。
内掛けプーラーの使いこなし方
- ブッシュ内径に合ったチャックを選び、奥までしっかり広げて固定する。
- スライドハンマーを接続し、軸に対して真っ直ぐ衝撃を加える。
よくあるトラブル:プーラーが滑る
「段差が浅くて爪が外れる」「錆が酷すぎて爪が負ける」といった場合は、無理に粘るとブッシュ内壁を削るだけです。早めに次の「最終奥義」へ切り替えるのが、ダウンタイム短縮の秘訣です。
レベル3:【最終奥義】ボルト溶接 + 熱収縮パワー
プーラーすら歯が立たない重度の固着に対する最強の解決策です。
「ボルト溶接抜き」の手順
- ボルトを挿入: ブッシュの内径に合うボルト(M10〜M12等)の頭を突っ込む。
- 溶接で接合: ボルトの頭とブッシュの内壁をガッチリ溶接する。
- 引き抜き: ボルトのネジ山にスライドハンマーを接続して引き抜く。
なぜこの方法が「最強」なのか?
最大の理由は「熱収縮」にあります。 溶接時の高熱でブッシュが膨張し、冷める過程で急激に縮もうとします。この「動き」が、長年の錆や汚れによる固着をパリッと剥がしてくれます。 コツは、溶接直後よりも、少し冷めて収縮が始まってから引くことです。
溶接が使えない時の予備知識(番外編)
「火気厳禁の場所」や「小径ブッシュ」で溶接が使えない場合は、以下の方法を検討してください。
- タップ立て: 内径にネジを切り、ボルトをねじ込んで押し出す。
- 背割り: 金切ノコで内側から縦に切り込みを入れ、張力を殺す。
- 油圧: 袋穴の場合、グリスを詰めて丸棒で叩く(パスカルの原理)。
まとめ:設備保全は「引き出しの多さ」が勝負
ブッシュが抜けない時の3段階アプローチを振り返ります。
- 叩く(基本)
- プーラー(正攻法)
- ボルト溶接(熱収縮+物理パワー)
一つの方法で1時間粘るより、15分で「次の手」に切り替える判断力こそが、プロの保全マンのスキルです。 安全第一で、効率的なメンテナンスを目指しましょう!


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