【電気保全】センサー交換の基礎!「2線式」と「3線式」の違いと、現場で慌てない配線ルール【図解あり】

設備保全

お疲れ様です、Naoです。

保全の仕事で、新人が最初に任される作業の一つが「センサーの交換」です。 「このシリンダーセンサー、壊れてるから新品に変えといて」 先輩にそう言われて、予備部品を持っていざ交換しようとすると…

「あれ? ついているのは2本線なのに、予備品は3本線だぞ?」 「茶色と青色はわかるけど、黒色ってどこに繋ぐの?」

こんな風にパニックになったことはありませんか? センサーには大きく分けて「2線式」と「3線式」があり、繋ぎ方が全く違います。

今回は、この2つの決定的な違いと、日本の現場で標準的な「配線の色分けルール」、そして「2線式から3線式へ変える時の落とし穴」について、分かりやすい図解付きで解説します。

1. そもそも「2線式」と「3線式」は何が違う?

見た目は似ていますが、中身の「仕事のやり方」が全く違います。 イメージとしては「ただのスイッチ」か「小さなロボット」かの違いです。

① 2線式(線が2本)

「ただのスイッチ」です。

  • イメージ: 部屋の照明スイッチと同じです。カチッと押すと道がつながり、電気が流れるだけの単純な構造です。
  • 配線: 回路の途中に「直列」に繋ぎます。
  • 代表例: オートスイッチ(有接点リードスイッチ)、リミットスイッチなど。

② 3線式(線が3本)

「小さなロボット(電子機器)」です。

  • イメージ: テレビやパソコンと同じです。センサーの中に「電子回路(小さな頭脳)」が入っていて、まずこいつに電気を食べさせて(電源供給して)あげないと動きません。
  • 配線: 電源(+-)と信号線の3本を繋ぎます。
  • 代表例: 光電センサー、近接センサー、無接点オートスイッチなど。

2. 絶対に覚えるべき「3線式」の色分けルール(NPN)

日本の産業用センサー(キーエンスやオムロンなど)は、線の色が統一されています。 これを覚えるだけで、配線図を見なくても繋げるようになります。

  • 茶色(Brown): プラス電源(DC24V)
  • 青色(Blue): マイナス電源(0V / GND)
  • 黒色(Black): 信号出力(PLCの入力へ)

覚え方: 「茶色がプラス、青がマイナス、黒で指令を出す」


【⚠重要】配線前に「COM端子」をチェック! 日本の設備は、入力ユニットが「24V(NPN)」のタイプが圧倒的に多いですが、稀に「0V(PNP)」の設備もあります(海外製の装置など)。

「どうせ24Vだろ」と思い込まず、配線前に必ずPLCの「COM端子」を確認してください。

  • COMに24Vがつながっている ➡ NPN(この記事の配線でOK)
  • COMに0Vがつながっている ➡ PNP(配線が逆になるので注意!)

【図解】一目でわかる!3線式と2線式のつなぎ方

現場で「どっちだっけ?」と迷ったら、この図を見てください。 日本の一般的な設備(NPN入力・マイナスコモン)の場合の配線図です。

① 3線式のつなぎ方(NPN)

電源線(茶・青)でセンサーを動かし、黒い線で信号を送ります。

  • 茶色 ➡ 盤の 24V 端子台へ
  • 青色 ➡ 盤の 0V 端子台へ
  • 黒色 ➡ PLCの 入力(X) 端子へ

② 2線式のつなぎ方

信号線はなく、電源回路の途中に「割り込む」イメージです。

  • 茶色 ➡ PLCの 入力(X) 端子へ
  • 青色 ➡ 盤の 0V 端子台へ

※2線式には「黒い線」も「24Vにつなぐ線」もありません。 誤って茶色を24Vにつなぐとショートするので注意!

3. なぜ「2線式」には信号線がないの?

ここで初心者が抱く疑問があります。 「2線式は電源線しかないのに、どうやってPLCに『ONしたよ』って伝えてるの?」

答えは、「電流が流れること、それ自体を信号にしているから」です。

2線式センサーは、PLC入力ユニットまでの「電気の通り道(橋)」になることで仕事をします。

【電気の流れ】 PLCのCOM端子(24V)PLC入力端子茶色センサー(スイッチ)青色盤の0V

センサーがONして道がつながると、PLCから電気がドバっと流れて0Vへ抜けていきます。 この「電気が流れた!」という状態を、PLCが検知してONになるのです。

【警告】2線式の「電源直結」は即死します

絶対にやってはいけないのがこれです。 「茶色を24V、青色を0Vに直接つなぐ」

これをやると、センサー内部でショート(短絡)して、一瞬で溶着・破損します。 2線式は必ず「PLCの入力」などの負荷と直列につないでください。

4. 「2線式」の場所に「3線式」をつける時の落とし穴

現場では「壊れた2線式の予備がなくて、手持ちの3線式で代用したい」という場面があります。 しかし、これには大きな壁があります。

「24Vの電源線が足りない!」

先ほど説明した通り、2線式は「信号の通り道」だけあればいいので、配線ケーブルも「2芯(線が2本)」しか来ていないことがほとんどです。 ここに3線式をつけようとすると、「茶色(24V)」をつなぐ線が現場に存在しません。

  • 信号(黒): 今ある線を使える。
  • 0V(青): 今ある線を使える。
  • 24V(茶): ない!!

無理やりつなぐには、盤から新しく線を1本引っ張ってくるか、ケーブル自体を3芯以上のものに引き直す工事が必要です。 (可動部で線を1本だけ継ぎ足すと断線の原因になるので、基本はケーブル引き直し推奨です)

教訓: 2線式の交換用には、必ず「2線式」を用意しましょう。3線式への変更は「工事」になります。

まとめ

センサー交換で迷ったら、まずは線の本数を確認し、図解を参考に配線しましょう。

  1. 2線式: ただのスイッチ。直列に繋ぐ(電源直結はNG!)。
  2. 3線式: 茶(+)・青(-)・黒(信号) のルールで繋ぐ(24V電源が必要)。
  3. 確認: 配線前に必ずPLCのCOM端子を見て、24V(NPN)か0V(PNP)かを確認する。

まずはこの基本ルールを叩き込んでください!

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