エアハイドロとは?仕組み・見分け方と「衝撃音」を消すエア抜き改造術

ブログ記事「エアハイドロとは?仕組み・見分け方と『衝撃音』を消すエア抜き改造術」の図解アイキャッチ画像。左側でエアハイドロの空気圧・油圧の仕組みと標準シリンダとの見分け方を解説。中央ではスパナを使ったエア抜きバルブ追加改造と静音化のイメージを、右側では空気混入時の衝撃音とエア抜き後のスムーズな動作の比較(BEFORE/AFTER)をイラストで示している。 設備保全

はじめに:現場にある「謎の縦長タンク」

皆さんの工場の設備に、こんな機器はついていませんか?

  • 油圧ユニット(ポンプ)はないのに、オイルが入った縦長のタンクがある。
  • 配管はエアチューブだけど、中身は油が流れている。

これは「エアハイドロ(空油変換器)」と呼ばれる機器です。 新人の頃、「これはエアシリンダなのか?油圧シリンダなのか?」と混乱した記憶があります。

今回は、このエアハイドロの「仕組みと役割」、新人が勘違いしやすい「パワーの誤解」、そして現場で役立つ「衝撃音トラブルの解消テクニック」までを一気に解説します。


1. そもそも「エアハイドロ」って何?

一言でいうと、「工場のエアの『手軽さ』を使って、油圧の『なめらかな動き』を実現する装置」です。

通常、シリンダを動かすには2つの選択肢があります。

  • エアシリンダ:
    • メリット:安い、配管が楽。
    • デメリット:空気が縮むため、速度調整が難しい(負荷が変わると急加速したり止まったりする)。
  • 油圧シリンダ:
    • メリット:油は縮まないため、一定速度でグイグイ進める(ドリル加工などに最適)。
    • デメリット:油圧ポンプやタンクが必要で、コストが高い。

この「油圧ポンプを買うほどじゃないけど、一定速度で動かしたい」(ドリルの送り動作など)という時に使われるのがエアハイドロです。 まさに「貧者の油圧(褒め言葉)」です。


2. 【誤解】「油だからパワーも強い」は大間違い?

ここが一番の勘違いポイントです。 「油が入っているから、エアシリンダよりパワーが出る(圧力が高い)」と思っていませんか?

答えは、「機器のタイプによる」です。 現場にあるのが「コンバータ」なのか「ブースター」なのかで、性能が全く違います。

① エアハイドロ(コンバータ)(空油変換器)の場合

  • 見た目: 「縦長のタンク」(側面に油面計があることが多い)。
  • 圧力: 変わりません(エア圧 = 油圧)。
  • 役割: 空気の圧力を、ただ油の水面に伝えているだけです。パワーはエアシリンダと同じです。

② ブースター(増圧器)の場合

  • 見た目: 「太いシリンダと細いシリンダが合体した形」や、ゴツい金属の塊。
  • 圧力: 最強になります(エア圧の10倍~20倍)。
  • 役割: パスカルの原理で圧力を増幅させます。カシメ機やプレス機に使われます。

※見分けるポイント 「タンク(容器)」に見えたらパワーは弱いタイプ。「機械(シリンダの塊)」に見えたらパワーが強いタイプです。 タンク型のエアハイドロに、無理やり重いワークを運ばせようとしても動きませんので注意しましょう。

参考リンク(モノタロウ):


3. 「バンッ!」という衝撃音は悲鳴です

コンバータタイプを使っていると、シリンダが動くたびに「バンッ!!」という凄まじい音が鳴ることがあります。

これは「エア噛み(気泡の混入)」が原因です。

  1. オイルの中に空気が混じる。
  2. 空気は「バネ」のように縮んでエネルギーを溜める。
  3. 動き出した瞬間、一気に解放されてピストンが壁に激突する(スティックスリップ現象)。

放置するとパッキン破損やセンサズレの原因になります。これを直すには「エア抜き」が必要です。


4. 解決策:「エア抜きバルブ」を追加改造しよう

しかし、最近の設備は「ワンタッチ継手」ばかりで、エア抜きが困難です。 圧力が残った状態でチューブを抜こうものなら、油が噴射して大惨事になります。

そこで、保全マンができる最善の策は、「エア抜きができる回路」を後付けしてしまうことです。

用意する部品

  • ユニオン・ティー(チーズ): 配管径に合ったもの
  • ボールバルブ(またはハンドバルブ): 排出用

取り付け場所の「正解」

取り付ける場所は、「下降側(ヘッド側)のシリンダ直前」です。

【回路イメージ】

Plaintext

[エアハイドロ(タンク)]
      ↓
      ↓(油配管)
      ↓
[ ★チーズで分岐! ] → [ ボールバルブ ] → [ 排出(ウエスで受ける) ]
      ↓
[シリンダ(ヘッド側ポート)]

なぜ「シリンダ直前」なのか?

空気は油より軽いので、配管の一番高いところに溜まろうとします。 シリンダが縦についている場合、一番空気が溜まりやすいのは「シリンダのお尻(ヘッド側)の入り口」です。

ここにチーズを噛ませておけば、バルブを少し開けるだけで、溜まった空気を「プシュッ」と安全に抜くことができます。


まとめ

  • 仕組み: エアハイドロ(コンバータ)は、エアの手軽さで速度制御をするためのもの。
  • 見分け方: 「タンク型」ならパワーは弱い。「太いシリンダ型(ブースター)」ならパワーは強い。
  • 現場改善: 衝撃音がしたらエア噛み。ワンタッチ継手は抜かずに、「チーズとバルブ」を追加してメンテナンス性を向上させよう。

未来の自分や後輩が油まみれにならないよう、気づいた時にサクッと改造してあげてください。

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