メガーのレンジは?NPNとPNPの違いは?新人保全マンが現場で困る「電気単語」完全ガイド

電気保全の現場用語まとめ。メガー、トランス、リレー、NPN/PNPの解説図解。 設備保全

「メガーあてといて」

「ノイズ拾ってるから、盤側でアースに落として」

「トランスの二次側の電圧確認して!」

お疲れ様です、ナオです!

現場に入りたての頃、先輩たちが当たり前のように使う「電気単語」が、まるで異世界の呪文のように聞こえたことはありませんか?

僕はありました。「メガー……? メガホンの親戚ですか?」と真顔で聞き返しそうになり、冷や汗をかいた記憶があります。

今回は、私が新人時代に「わからなすぎてフリーズした」現場の電気単語と図面記号を、実体験を交えて翻訳します。


1. 制御盤の主要機器:「箱」の中身を知る

まずは盤の中で存在感を放つ、大きな部品たちです。

■ 変圧器(トランス / Transformer)

  • 役割: 交流(AC)の電圧を変換する装置です。重たい鉄の塊です。
  • 実務では: 工場の「三相200V」を、コンセントと同じ「単相100V」に落としてパソコンや照明に使いたい時などにいます。
  • 確認ポイント: 「二次側(出力側)を測れ」と言われたら、変換後の電圧(100Vなど)が正しく出ているかテスターで測ります。一次側(入力)が来ていても、二次側が出ていなければトランスの故障(断線)です。

■ パワーサプライ(電源ユニット / Switching Power Supply)

  • 役割: 交流(AC100/200V)を、センサーやPLCが食べる直流(DC24V)に変換する「シェフ」のような装置です。
  • 現場のリアル: 実はこれ、消耗品です。中のコンデンサが寿命を迎えると、出力が不安定になります。
  • 故障時の症状:
    • 「センサーがチカチカ点滅して安定しない」
    • 「時々PLCの電源が落ちる」こんな時は、パワーサプライ正面の出力調整ボリュームをいじる前に、テスターでDC24Vが出ているか確認しましょう。寿命で「20V」くらいに下がっていることがよくあります。

2. 図面で絶対に見かける「アルファベット記号」

図面は地図です。この記号さえ読めれば、迷子になりません。

記号名称現場での役割とイメージ
LSリミットスイッチ「物理的な番犬」
ドグ(蹴り)が当たるとカチッと反応して位置を教える。
MC電磁接触器「筋肉担当のスイッチ」
モーターなどの大電流を入り切りする。動くと「バンッ!」とデカイ音がする。
CR / Ry補助リレー「伝令役」
小さな信号を伝えたり、回路を分岐させたりする。オムロンの透明な四角いやつ。
SV / SOL電磁弁「空気の切り替え係」
電気信号を受けると弁が動き、エアーを通してシリンダーを動かす。
CPサーキットプロテクタ「ガードマン」
過電流が流れるとカチッと落ちて回路を守るブレーカーの一種。

3. NPN(シンク)とPNP(ソース)とは?

センサーを買う時や配線する時、必ず聞かれるのがこれ。

一言で言うと「電気が流れる方向(回路構成)のルール」です。

  • NPN(シンク / Sink):
    • 特徴: 日本で一番多いタイプ(三菱電機、キーエンス、オムロンなど)。
    • 覚え方: 「N」は「Nippon(日本)」のN!
    • 回路: 信号線が「0V(マイナス)」に繋がることでONになるイメージ。「吸い込み(Sink)」型とも呼ばれます。
  • PNP(ソース / Source):
    • 特徴: ヨーロッパ製の機械や、安全規格に厳しいラインで使われます。
    • 回路: 信号線から「24V(プラス)」が出ていくイメージ。「湧き出し(Source)」型。

※間違えて繋ぐと動きませんし、最悪壊れます。「日本の機械だからNPNだろう」と思い込まず、必ず仕様書を見ましょう!


4. 「短絡(ショート)」と「漏電」の違い

どちらも「電気が漏れる」トラブルですが、現象と危険性が違います。水の配管で例えると分かりやすいです。

■ 短絡(ショート / Short Circuit)

  • 水の例え: 「ダムが決壊して、濁流が押し寄せる」
  • 現象: プラスとマイナスの線が、負荷(抵抗)を通らずに直接ガチャンと繋がってしまうこと。
  • 結果: 抵抗がないので、無限に近い電気が一瞬で流れます。「バチン!」という音と共に火花が散り、ブレーカー(CP)が即座に落ちます。
  • 原因: 配線ミス、端子台でのドライバー接触など。

■ 漏電(ろうでん / Electric Leakage)

  • 水の例え: 「ホースに小さな穴が開いて、水がチョロチョロ漏れている」
  • 現象: 電線やモーターの被覆(ゴム)が劣化して、電気が機械のフレームや地面に逃げ出してしまうこと。
  • 結果: 触るとビリッと感電します。漏電ブレーカー(ELB)が落ちます。
  • 原因: 水濡れ、経年劣化、ケーブルの挟み込み。

5. コモン端子(COM)と「コモン浮き」の恐怖

図面を見ると、たくさんの線が一本に集まっている場所があります。それがコモン(共通線)です。

  • 物理的な姿: 端子台の上で、隣の端子同士を繋いでいる「ショートバー(金属の板)」や、一本の線から渡り配線されている部分です。
  • 役割: 電源のプラス(またはマイナス)をみんなでシェアするための「電源タップ」のような場所です。
  • 現場の恐怖「コモン浮き」:もし、このコモン線のネジが緩んで外れるとどうなるか?「そのグループのセンサーやリレーが、一斉に全滅(動作不能)」します。「なんでここだけ全部動かないの!?」と思ったら、まずはコモンの緩みを疑ってください。

6. チャタリング(Chattering)とは?

接点が触れる瞬間に、物理的にバウンドして高速でON/OFFを繰り返してしまう現象です。

  • 現象: 「カカカカッ」や「ジジジ…」と震えるような音がしたり、カウンターが誤作動したりします。
  • 原因:
    1. 接点の寿命や、電圧不足。
    2. 【現場あるある】リレーの抜けかけ。 振動などでリレーがソケットから少し浮いてしまい、接触不良でチャタリングしていることが多々あります。
  • 対策:
    • まずは指で押す!: 「なんか音がうるさいな?」と思ったら、リレーを指でグッと押し込んでみてください。それで直ればただの「抜け」です。
    • ソフト対策: それでも直らなければ、PLC(ラダー)側でタイマー処理を入れて無視するのが一般的。

7. 【最重要】アース配線とメガーのレンジ選び

ここだけは、間違えると機器を壊すのでテストに出ます!

■ アース(E端子)の配線

  • 指示: 「ノイズ拾ってるからアース落として」
  • 意味: ノイズ(雑音電気)は「排水溝(アース)」に流して捨てます。
  • ポイント: アース線は「太く、短く」が鉄則。長いと途中でノイズが詰まります。制御盤内の銅のバー(アースバー)へ最短距離で繋いでください。

■ メガー(絶縁抵抗計)の使い方

先輩に「メガーあてといて」と言われたら、それは「漏電チェックして」という意味です。

  • なぜ「振る」と言う?: 昔のアナログ式は手回し発電機が付いていて、ハンドルをブンブン「振って」電気を起こしていたからです。今はボタン一発の電池式が主流です。
  • 【超重要】レンジ(電圧)の選び方今のデジタルメガーには「125V」「250V」「500V」「1000V」などの切り替えスイッチがあります。これを間違えると大惨事になります。
    • 弱電回路(センサー、PLC入力など): 絶対「125V」以下!!
    • 動力回路(200Vモーターなど): 「500V」を使用。

⚠️注意⚠️

もし、DC24Vのセンサー回路に「500V」のメガーを当てるとどうなるか?

過電圧でセンサーやPLCの基板が一瞬で焼き切れて死亡します。

「どっちのレンジですか?」と聞くのは恥ではありません。機器を殺す前に必ず確認してください!


まとめ:記号がわかれば図面が「地図」になる

最初は呪文に見えた「MC」や「COM」も、理屈がわかれば現場という迷宮を案内してくれる頼もしい「地図」に変わります。

特に「メガーのレンジ」と「NPN/PNP」の違いは、間違えると実害が出るポイントです。一つずつ攻略して、現場に強いエンジニアを目指しましょう!

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