なぜ油圧電磁弁にはリレーがいる?ミニリレーの焼損対策と「サージキラー」の役割を解説

油圧電磁弁の配線図解。焦げたミニリレーとサージキラー付きリレーの比較イラスト。 設備保全

こんにちは、ナオです!

現場に入りたてで一番焦る瞬間、それは設備が止まって先輩からこう言われる時じゃないでしょうか。

「おい、あのソレノイド(電磁弁)生きてるか見てこい!」

新人時代の僕は、「ソレノイド……? なにかの呪文ですか?」と頭が真っ白になっていました。 今回は、電気が「物理的な動き」に変わる最重要パーツ、「電磁弁(ソレノイドバルブ)」について、新人がハマる罠を中心に解説します。

特に、「200Vの油圧電磁弁」は、ただ繋ぐだけじゃ動かない厄介なヤツなんです。

1. そもそも「空圧」と「油圧」で電気が違う?

現場には大きく分けて2種類の電磁弁があります。「空圧(エアー)」と「油圧」です。これ、見た目で判断する前に、電気的な扱いが全然違うんです。

  • 空圧(エアー)の電磁弁
    • 軽い力で動くので、電圧はDC24Vが主流。
    • 消費電力が少ないので、PLC(制御装置)から直接繋いでも動くことが多いです。
  • 油圧の電磁弁
    • 重いシリンダーをドスンと動かすため、パワーが必要。電圧はAC100Vや200Vが主流。
    • 電気をたくさん食うので、PLCから直接繋ぐとPLCがパンクして壊れます。

今回の主役は、後者の「油圧電磁弁」です。こいつを動かすには、ある「助っ人」が必要になります。

2. なぜリレーを挟むの?(200Vの壁)

PLCは頭脳は優秀ですが、力(電気を流す能力)は弱いです。 例えるなら、「小学生(PLC)が、重量挙げのバーベル(200V電磁弁)を持ち上げようとしている」ようなもの。直接やらせたら小学生が怪我しますよね。

そこで登場するのが、力持ちの助っ人「リレー」です。

  1. PLC(小学生)が、リレー(力持ちのお兄さん)の肩をトントンと叩く(信号を送る)。
  2. リレーが「任せとけ!」とスイッチを入れる。
  3. リレー経由で200Vの電気がドカンと流れ、電磁弁が動く。

この流れを作るために、油圧電磁弁には必ずと言っていいほどリレーがかませてあります。

3. よく焦げるミニリレーと「サージキラー」というお守り

現場で盤を開けると、この中継役のリレー(特にオムロンのMYリレーなどのミニリレー)が、真っ黒に焦げていることがありませんか?

これは、電磁弁のスイッチが切れた瞬間に発生する「逆起電力(サージ)」という電気の衝撃波が原因です。 スイッチを切るたびに、リレーの接点で「バチッ!」と小さな火花が飛び、それが積み重なって接点が溶着(くっつく)したり、黒焦げになったりします。

対策:サージキラー付きを使え!

頻繁にオンオフする場所や、すぐ壊れる箇所には、必ず「サージキラー付きリレー」(ダイオードやCR回路内蔵型)を使ってください。 型番に「D」や「CR」がついていることが多いです。これが衝撃波を吸収してくれる「お守り」になり、寿命が劇的に伸びます。

4. 「電気が来ているか」は、テスターの前に「ランプ」を見ろ!

「装置が動かない!電磁弁が壊れたかも!?」 そんな時、いきなりテスターを出して配線をバラそうとするのはNGです。まずは電磁弁本体についている「表示ランプ」を見てください。

  • ランプが点灯している場合
    • 電気はここまで正常に来ています。
    • 疑うべきは「電磁弁のコイル断線(中身の故障)」か「油圧的なゴミ詰まり・固着」です。
  • ランプが消えている場合
    • 電気がそもそも来ていません。
    • 疑うべきは「手前のリレーの故障」「ヒューズ切れ」「断線」です。

この「ランプ確認」だけで、調査範囲が半分になります。 もしランプがついていて動かないなら、電磁弁にある手動ボタン(ポッチ)をドライバーで押してみてください。それで動けば、電気系の故障(コイル切れなど)と断定できます。

5. 【実録失敗談】交換時の罠!「渡り線」を忘れるな

最後に、僕が新人時代にやらかした失敗談を。

油圧電磁弁が壊れたので、全く同じ型番の新品に交換することになりました。 「同じ型番だし、線を外して新しいのに付け替えるだけでしょ? 楽勝!」

そう思って交換し、電源ON。……動きません。 冷や汗をかきながら確認すると、原因は「渡り線(ショートバー)」でした。

渡り線(コモン)の罠

電磁弁の端子台には、電源の片方(コモン)を隣の端子にも配るために、短い金属板や電線(渡り線)が入っていることがあります。 僕は古い電磁弁から線を外す時、この「渡り線」の存在に気づかず、メインの線だけを新しい電磁弁に繋いでしまったのです。

これでは回路が成立せず、電気は流れません。

【教訓】 電磁弁を交換する時は、線を外す前に必ずスマホで写真を撮る! そして、「渡り線が入っていないか」を指差し確認してからバラすこと。これが一番の近道です。

まとめ

  • 200V油圧電磁弁にはリレーが必須。PLCを守る防波堤。
  • すぐ焦げるリレーには「サージキラー付き」を選定する。
  • トラブル時はまず「ランプ」を見る。これで原因を切り分ける。
  • 交換時は「渡り線」を絶対忘れるな!(写真必須)

電気と機械が交わる場所だからこそ、トラブルも多い電磁弁。 ここを理解していると、「お、こいつ現場のこと分かってるな」と先輩に一目置かれますよ!

【次回記事のお知らせ】 今回は重厚な油圧機器の話でしたが、次はもっと身近な「空圧電磁弁」の話です。

実は空圧バルブには、テスター不要で診断できる「魔法のボタン」がついていたり、「部品交換代を数千円に抑える裏技」があったりと、知っているだけで評価が上がるテクニックが満載です。 保全マンの必須知識なので、ぜひチェックしてみてください!

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