わかんねーよ!と叫んだ新人時代の電気の疑問。三相・単相200Vの正体を整理してみた

新人時代のナオがパニックになった三相200Vから単相を奪う仕組みと、混乱した配線の図解 設備保全

お疲れ様です、ナオです!

いよいよこのブログも記念すべき20回目を迎えました! いつも読んでくださりありがとうございます。

今回は、私が保全マンになりたての頃、現場で配線図を見ながら「えっ、これ大丈夫なの…? 本気で言ってる?」とパニックになった疑問を、包み隠さず書き出しました。

「200Vを繊細なPLCに繋ぐの!?」 「S相は地球ってどういうこと!?」

教科書にはサラッとしか書いていない、でも現場では絶対に知っておかなきゃ命に関わる「電気の正体」。 あの頃の私が震えながら先輩に聞いたQ&Aを、今の言葉で解説します。


1. 「200VをPLCの接点に繋ぐ」…爆発しないの!?

最初のパニックは、古い設備の図面を見た時のこれでした。

疑問: 「200VをPLCの出力接点に通して、電磁弁へ配線する」って図面に書いてある。 精密機器のPLCに200Vなんか入れたら、ドカンといきませんか?

答え:PLCはただの「スイッチ(橋)」だから大丈夫!

最近の設備では「PLC(24V)」で「リレー」を動かし、そのリレーで200Vを動かすのが主流です。 しかし、昔の設計やコストカットされた盤では、「AC200V対応のリレー出力ユニット」を使って、直接200VをON/OFFすることがあります。

  • 仕組み: PLCの内部に電気が流れるわけではなく、端子台の中に小さな「接点(門)」があり、それが開いたり閉じたりしているだけ。だからPLC自体は燃えません。
  • 注意点: ただし、万が一配線がショートしたり過電流が流れると、PLCの接点が溶着(くっついて離れない)して暴走したり、ユニットごと交換になったりとリスクが高いです。 だからこそ、今は「PLC→リレー→200V機器」という2段構えにして、何かあっても安いリレーの交換だけで済む設計が好まれるんですね。

2. なぜ電磁弁の配線は「3本」だったり「2本」だったりするの?

電磁弁(ソレノイドバルブ)からは線が2本出ているはずなのに、現場の端子台を見ると3本刺さっていたりして混乱しました。

答え:「帰り道(コモン)」のまとめ方が違うから!

現場には、電気の帰り道(S相やN相)をまとめる2つの流派があります。

パターンA:電磁弁でバケツリレー(渡り配線)

端子台に「3本刺さっている」のはこのパターン。帰り道を隣へ隣へと数珠つなぎにしています。

  1. 行きの信号(R相など): 盤から来た指令。
  2. 前から来た帰り道(S相): 隣の電磁弁から来た線。
  3. 隣へ送る帰り道(S相): 次の電磁弁へ送る線(これが「渡り」!)

メリット: 盤から来るケーブルの本数が少なくて済む。 デメリット: 1箇所でも線が緩むと、そこから先の電磁弁がすべて動かなくなる(全滅する)。交換作業がめちゃくちゃ面倒くさい。

パターンB:盤の端子台で集約

各電磁弁からは2本(行きと帰り)だけを引き、盤の中にある「コモン端子台」の上で、ショートバー(短絡板)を使って一気にまとめる方法。

メリット: 「どの線がどの電磁弁か」がテスターで追いやすく、メンテナンス性が高い! デメリット: 線の数が倍になるので、盤の中がスパゲッティになりやすい。


3. 三相から2本を「奪う」?単相200Vのナゾ

疑問: 動力用の三相200V(R・S・T)から、勝手に2本だけ「奪って」単相200Vとして使っている…。 そんなことして、モーターを回す電気が弱くなったりしないの?

答え:むしろそれが工場の「普通」の設計!

  • 三相(3本): 大きなモーターを回すための「筋肉」
  • 単相(2本): 三相のうち2本(R-S間など)だけ抜き出したもの。制御電源やファンを回すための「神経」

これらは「並列(パラレル)」に繋いでいるだけなので、電圧は200Vのまま変わりません。 家庭のコンセントでドライヤーを使っても、隣の部屋のテレビが消えないのと同じ理屈です。 「筋肉(動力)」の邪魔をせずに、同じ電源から賢くエネルギーをシェアしているんです。


4. 【衝撃】なぜ「S相」がアース(接地)なの?

疑問: 「制御電源のS相は接地(アース)されている」と教わりました。 S相は帰り道でしょ? 地面に繋ぐ必要ある? 漏電しないの?

答え:回路を安定させ、異常から守るため(B種接地)!

変圧器(トランス)の二次側で片方を地面に繋ぐことで、電圧を安定させ、万が一高電圧が混ざった時に電気を逃がす道を作っています。

しかし、これが保全マンにとって最大の「恐怖」の理由でもあります。

  • S相 = 地面(地球)
  • あなた = 工場の床(地面)に立っている

つまり、あなたの足元は常に「S相」と繋がっている状態なんです。 この状態で、うっかり「R相(行き)」に触れるとどうなるか?

「R相 → あなたの体 → 地面 → アース線 → S相」

という回路が完成し、あなたの体を導線にして200Vがフルパワーで駆け抜けます。 家庭用100Vでビリっとくるのとはわけが違います。2倍の電圧、つまり2倍以上の「殺意」があることを絶対に忘れないでください。


5. R相とS相、どっちも200Vなのにショートしないの?

疑問: R相もS相も強い電気(対地電圧)を持ってるなら、ぶつかったら爆発するんじゃない? なんで電磁弁の中でぶつかっても平気なの?

答え:タイミング(位相)がズレているから!

交流(AC)は、すごい速さで動くシーソーのようなものです。 右(R相)が上がっている時、左(S相)は下がっている。

この「高さの差(電位差)」があるからこそ、高い方から低い方へと電気が流れます。 間に「電磁弁(負荷)」という抵抗(仕事をする場所)を挟むことで、エネルギーが回転運動や磁力に変換され、安全に消費されます。

もし、間に何も挟まずにRとSを繋いだら? エネルギーの逃げ場がなくなり、文字通り「爆発(短絡)」します。絶対にやめましょう。


まとめ:わかんねーよ!と言い続けよう

今回の疑問を整理して、私自身の頭もスッキリしました。

  1. PLCに200Vは入るけど、リレー受けの方が安全。
  2. 3本配線は、現場での「バケツリレー(渡り)」の証。
  3. 単相200Vは、三相の筋肉からちょっと拝借しているだけ。
  4. S相は地球。だからR相を触ると感電回路が完成する(超危険)。

現場に出ると、図面と実際の配線が違ったり、セオリー無視の改造がされていたりして混乱することばかりです。

そんな時は知ったかぶりをせず、心の中で「わかんねーよ!」と叫びながら、一つずつ先輩に聞いたり調べたりしていきましょう。 その「なぜ?」の積み重ねが、あなたをトラブルに強い保全マンにしてくれます。

それでは、また次回の記事で!くこと。それが一番の近道だと実感しました。

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