「新しいセンサーを配線したのに、アンプの電源ランプすらつかない…。初期不良かな?」
お疲れ様です、岡山県の工場で機械保全をしているナオです。
先日、設備にセンサーを増設した際、この「電源が入らないミステリー」に遭遇しました。原因は、自分の思い込みとは逆のPNP(ソース)配線の設備だったことでした。
今回は、初心者が二度と間違えないための「電気の流れる向き」と、意外と知らない「負荷」の正体について解説します!
1. 実録:なぜセンサーアンプの電源がつかなかったのか?
センサーを増設する際、私は「茶色は24V、青色は0V」と教科書通りに繋ぎました。ところが、アンプは沈黙したまま。
原因は「設備全体の共通ルール(コモン)」の違いでした。
- NPN回路(一般的): 0V(N24)が共通の「帰り道」。
- PNP回路(今回の罠): 24V(P24)が共通で、0V側をスイッチングする構成。
このように、設備全体の「電気をどう帰すか」というルールが自分の用意したセンサー(NPN型)と合っていなかったため、アンプに必要な電気が通らず、起動すらできなかったのです。
2. そもそも現場でよく聞く「負荷(ふか)」ってなに?
センサーの解説を読むと必ず出てくる「負荷」という言葉。「重い荷物のこと?」と思いがちですが、電気の世界ではこう覚えるとスッキリします。
負荷 = 「電気に仕事をさせる相手」
保全の現場でいう負荷とは、具体的には「PLCの入力ユニット」や「リレーのコイル」などのことです。 電気はプラスから出て、必ずこの「仕事相手(負荷)」を通ってからマイナスへ帰らなければなりません。もし負荷を通らずに繋がると、火花が散る「短絡(ショート)」が起きてしまいます。
3. NPNとPNP、電気はどっちに流れる?
「NPNは0V(N24)に繋ぐのに、なぜ電気が流れるの?」という疑問の答えは、PLC(入力ユニット)側にあります。
NPN(シンク/吸い込み型)
日本で最もポピュラーな方式です。
- 仕組み: PLC側(コモン)が 24V を抱えて、電気が流れるのを待っています。
- 流れ: センサーがONになると、電気は PLC(24V)→ センサー → 0V(N24) へと「吸い込まれて」いきます。
- イメージ: センサーは電気を捨てる「排水口」の役割です。
PNP(ソース/吐き出し型)
海外仕様や安全重視の設備で使われる方式です。
- 仕組み: センサー側が24Vに繋がっていて、電気を送り出そうとしています。
- 流れ: センサーがONになると、電気は センサー(24V)→ PLC → 0V(N24) へと「送り出されて」いきます。
- イメージ: センサーは電気を供給する「蛇口(ポンプ)」の役割です。
【要注意!】海外製の設備は「PNP」がスタンダード
もし皆さんの工場に、ヨーロッパ製などの海外メーカーの機械が導入されていたら、最初から「PNP(ソース)配線」である可能性が極めて高いです。
- 海外の常識: 欧米では安全基準(地絡対策)の観点から、PNP方式が圧倒的に主流となっています。
- グローバル仕様: 最近では日本メーカーの設備でも、海外輸出を想定した「グローバル仕様」として、国内向けでもPNPを採用するケースが増えています。
「日本メーカーの部品を使っているからNPNだろう」という思い込みは、まさに私がハマった「アンプの電源すら入らない」というトラブルの入り口です。盤を開ける前に、まずはその設備の「出身地(仕様)」を疑ってみるのが、プロの保全マンへの第一歩です!
4. 図面で100%見抜くコツ:COMの「帰り道」を見よ!
「この設備はどっちだ?」と迷ったら、PLC入力ユニットの図面にある 「COM(コモン)」 がどこに帰っているかを探してください。
- COMが N24(0V)に繋がっている → それは PNP(ソース)回路 です。センサーは24Vを出すタイプを選びましょう。
- COMが P24(24V)に繋がっている → それは NPN(シンク)回路 です。センサーは0Vへ流すタイプを選びましょう。
私が現場で見た図面も、よく見るとCOMが「N24」に集約されていました。日本メーカーだからと油断せず、この「帰り道」を確認するのが正解への最短ルートです。
5. まとめ:保全マンは「思い込み」を捨てて「COM」を見よう
- センサーを「電源」ではなく「電気の通り道」と考える。
- NPNはPLCから電気を「吸い出す」方式。
- 図面の「N24」端子にCOMが繋がっていたら、それはPNPの世界!
「リードスイッチ(2線式)」ならどちらでも使えますが、「アンプ(3線式)」は型式を間違えると今回のように電源すら入りません。まずは図面で「コモンの帰り道」を確認する癖をつけましょう!


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