こんにちは、ナオです! 前回は重厚な「油圧」の話をしましたが、今回は工場の主役、「空圧(エアー)」の話です。
「エアーなら感電しないし、油まみれにもならないから楽勝!」 そう思っていた新人時代の僕ですが、実は空圧には空圧特有の「魔物」が住んでいました。
今回は、シリンダーが動かない時の「最短チェック方法」と、電磁弁の種類、そして最大の敵「水」について解説します。
1. 「動かない!」まずは手動ボタン(マニュアル)を押せ
「シリンダーが動かないんです!」と後輩から無線が入った時、僕はテスターを持つ前に、まずドライバーを一本持って走ります。 なぜなら、空圧電磁弁には最強の診断ツール「手動操作ボタン(マニュアルオーバーライド)」がついているからです。
電磁弁のボディーにある小さなボタンやピン(オレンジや青色が多い)を、ドライバーで押したり回したりしてみてください。
- シリンダーが動いた場合:
- 機械(弁)は正常です。
- 原因は「電気」です。断線、リレー故障、PLC出力異常を疑いましょう。
- シリンダーが動かない場合:
- 原因は「機械」または「エアー供給」です。
- エアーが来ていないか、弁の中でスプール(軸)が固着しています。
この「手動ポチッ」だけで、電気屋を呼ぶべきか機講屋が直すべきかが一瞬で分かります。
2. 電磁弁は「丸ごと」変えるな!コイル交換の極意
「電気が来てないけど、手動なら動く」という場合、十中八九「ソレノイドコイル(電磁石部分)」の焼損が原因です。 金属の塊である「弁本体」が壊れることは、実は滅多にありません。
ここで新人君に伝えたいのが、「丸ごと交換するな」ということ。 メーカーにもよりますが、電磁弁はコイル部分だけ外して交換できます。
- バルブ丸ごと: 1万〜2万円
- コイルのみ: 3000円〜5000円
「コイルの予備」を道具箱に入れておけば、配管をバラす手間もなく、ネジ1本で修理完了。上司からも「おっ、コスト意識あるね!」と褒められますよ。
3. シングル・ダブル・3ポジション…呪文を解読せよ
交換部品を注文する時、型番を見て「シングル?ダブル?なんのこっちゃ?」とならないよう、動きの違いを整理しましょう。
- シングルソレノイド(片側コイル):
- 電気を切ると、バネの力で勝手に元の位置に戻る。
- 安全重視(停電時に原点に戻したいなど)で使われます。
- ダブルソレノイド(両側コイル):
- 一度切り替わると、電気を切ってもその場に留まる(記憶する)。
- 行ったり来たりさせる搬送用によく使われます。
- 3ポジション(中間停止):
- 「出」「戻」の他に、「真ん中で止まる」機能があるタイプ。
- オールポートブロック(クローズドセンター): その場でビシッと止まる。非常停止用など。
- エキゾーストセンタ: エアーを抜いてフリー(手で動かせる状態)にする。
4. シリンダーの動きが悪い?犯人は「水」だった!
現場でよくあるのが、「シリンダーの動きがなんか遅い」「ガクガクする」という症状。 スピードコントローラー(速度調整弁)をいじっても直らない…。
そんな時、ホースを外してみて「水」がプシュッと出てきたら、犯人は間違いなくそいつです。
なぜ水で動きが悪くなる?
工場内のエアー配管は、夏場や温度差がある場所を通ると、内部で結露して大量の水が発生します。 この水が電磁弁やシリンダーに入り込むと、内部の潤滑グリスを洗い流してしまうんです。
グリスがなくなると、ゴムパッキン(Oリング)の滑りが悪くなり、摩擦で動きが重くなります。最悪の場合、内部が錆びて固着し、完全に動かなくなります。
5. 水から設備を守る「フィルター」と「急速排気弁」
「動きが悪い原因は水だった」と分かったら、対策をしましょう。
- エアフィルターを「水除去タイプ」に変える
- 普通のフィルターでは水気は取りきれません。「ミストセパレータ」や「水除去フィルター」という、目の細かいものに変えましょう。オートドレン付きなら勝手に水を捨ててくれます。
- 急速排気弁(クイックエキゾースト)で吹き飛ばす
- シリンダーの排気を一気に外に出す弁です。動きを速くするだけでなく、シリンダー内に溜まりかけた水分を勢いよく外へ吹き飛ばす効果もあり、水の滞留を防げます。
エアーの質を管理することは、設備の寿命に直結します。「たかが水」と侮ると、痛い目を見ますよ!
まとめ
- 動かない時はまず「手動ボタン」。電気か機械かを切り分ける。
- 本体は頑丈。壊れるのはコイル。コイル交換でコストダウン!
- 「動きが悪い」ときは配管を外して水チェック。グリス切れを疑え。
- 水は機械を殺す。ミストセパレータで完全防御せよ。
これで空圧電磁弁の基礎はバッチリですね!
でも、保全マンとして現場で頼られるには、あのゴツい「油圧電磁弁」も避けては通れません。 前回解説した「なぜ油圧にはリレーが必要なのか?」を知っているだけで、トラブル対応のレベルが一段階上がりますよ。まだの方は今のうちにチェック!
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